Prince Monthly Column

2018/04/13

「初めてのテニス道具ってどう選んだらいい?」
最初の道具はとても重要だから、 先輩のお古や中古ではなく、新品で始めよう!
ラケットの買い方と、シューズの選び方を紹介。

初めてのラケットは、テニスショップへ行って選ぼう
〜安くてもいいから新品を買いましょう〜

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春です! 新入生です! 新生活です!
この機会にテニスを始めようという方も多いと思うので、今回は「初めてのテニス道具選び」をテーマに話したいと思います。ベテランのみなさんは「それじゃ関係ねぇ」とお思いかもしれませんが、もしかすると『えっ! そうだったの!?』ということもあるかもしれませんから、サクッと目を通してみてくださいね。

まずは大物、テニスラケットを選びます。昨今は、テニス道具もいろんな方法で購入することができる時代です。「先輩のお古を譲ってもらう」「中古ラケットをネットで買う」「中古ショップヘ行く」「ネットで新品を買う」「テニスショップで新品を買う」などありますが、初めてのテニスならば、圧倒的に「テニスショップで新品を買う」を薦めます。

まず、中古ラケットはやめましょう。「初めてだから中古でいい」はクルマ選びでの話です。中古ラケットというのは、外見では壊れていないように見えても、フレームの中身が破損している場合があります。そんなラケットを使って、テニスを楽しめるはずがありません。しかも、中古ラケットは、品質保証もありませんから、失敗しても誰にも文句を言えませんね。「先輩のお古を譲ってもらう」のはもっとダメかも。テニス経験者が初級者時代に使っていたラケットというのなら別ですが、初級者のあなたに適したラケットである可能性は、非常に低いと思われます。安くてもいいですから、新品のラケットを買ってスタートしましょう。

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さて、テニスショップヘ行くと、いろんなラケットがたくさん展示されています。それらの中から、まったく情報なしに、自分に適したラケットを選ぶのは、ほぼ不可能。いちばんいいのは、ある程度はショップのスタッフに任せ、いっしょに選んでもらうことです。ちょっとやってみたいだけの人でも、将来は本格的に試合に出たいという人でも、最初に使うラケットの差別はそんなにないでしょう。ポイントは「重すぎないこと」「使っていて楽しくプレーできそうなこと」ですね。

最初から高価なラケットを買う必要はありません。免許取り立てのドライバーが、レース用に仕上げられたクルマを与えられても、快適に運転することなどできませんよね。必要な性能が違うわけですから、メーカーが初級者用に用意したラケットというのが、じつはいちばん快適にプレーできるわけです。そして上達したら、次のレベルのラケットへとステップアップしましょう。

ラケットを買うとき、もう一つの選択肢が「ストリング」です。スポーツ量販店などでは、すでに張り上がった状態で売られているものもあります。急いで用意しなければならない場合は、とりあえずそれでプレーしてもいいですが、できればフレッシュなストリングを張ってもらいましょう。ストリングには「賞味期限」があります。期限切れのストリングは、性能の本質である反発力が低下してしまい、ボールを快適に飛ばすことができなくなります。いつ張られたのかわからないストリングは、期待しないほうがいいですね。誤解しないでほしいのですが、ストリング張り上げ状態で売られているラケットが悪いわけではありません。新しいストリングを張ってもらったほうが、はるかに快適にテニスを楽しめますよ!ということです。

ストリングにもいろんな種類があります。どこのメーカーのものかわからない、めちゃくちゃ安いものを「サービスガットだよ」といってタダで張ってくれるショップもありますし、張り上げ代も含めると1万円以上するナチュラルガットというのもあります。初めてのテニスならば、タダは嬉しいでしょうが、できれば名の知れたブランドのスタンダードタイプを張ってもらうのがいいでしょうね。

ストリングを選んだら「テンションはどのくらいにしますか?」と訊かれるかもしれません。でも初めてなのですから「どうする?」って訊かれてもねぇ(笑)。まずはスタッフかストリンガー(ストリングを張る技術者)にお任せしましょう。だいたい40〜50ポンドの間でお願いするのがスタンダードと思ってください。

テニスシューズは競技モデルよりもエントリー系が適している
〜正しい試履きの方法も知っておこう〜

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テニスラケットを用意したら、次はテニスシューズです。初心者だからといって、ランニングシューズでもいいじゃないか!というわけにはいきません。ランニングシューズは、真っ直ぐ前に走るための靴で、その動きに合わせて作られています。でもテニスは前後左右、あらゆる方向へ走り、止まりたいところで確実に止まって、次の打球のために蹴り出さなければなりません。

またテニスというスポーツはちょっと特殊で、いろんな種類のサーフェス(地面)でプレーしなければならず、プレーするサーフェスによって、最適なシューズが違うことを覚えておいてください。おもに、靴の裏の溝のパターンや、ラバーの質も違ったりしますから、いつもプレーするコートが決まっていれば、そのサーフェスに適したシューズを買うようにしましょう。

テニスショップによってですが、サーフェス別に分類されて展示されている場合がありますから、まず目的のコーナーヘ行きます。そして、価格的にリーズナブルな「エントリーモデル」に着目します。テニスシューズに「大は小を兼ねる」「高価格は低価格を兼ねる」はないということを知ってください。

だいたい高価格なモデルは、競技者など「激しいフットワークを必要とする」プレーヤーのために設計されています。高級モデルなんだから、性能的に足りないことなどないだろうと思うかもしれませんが、じつはそうではなく、初級者にとって絶対に必要なグリップ性能が違うんです。競技者は強く踏み込むため「自分の力で止まることができる」のですが、軽く踏み込む初級レベルでは、シューズ自体が「軽い踏み込みでもグリップしてくれる」ようにサポートしています。つまり無理して競技者用を買う必要はない……のではなく、「エントリーモデルを買うべきだ」(*文末に例外を記載)なんです。

それから、ショップではかならず試し履きをしましょう。すべてのプレーヤーに共通して言えますが「初めて履くシューズはかならず試し履きする」べきです。テニスシューズは、ブランドが違えばもちろん、同じブランドでもサイズや足型が微妙に違いますから、実際に足を入れて確認することはとても重要です。これだけはネット購入では不可能ですね。

ショップスタッフさんにシューズを用意してもらったら、まず足を入れて、踵を床にトントンして、シューズの内側にフィットさせてから靴ヒモをしっかり締めます。最後につま先を上から押してみて、1cmほどの余裕がある状態が、あなたにジャストフィットのサイズです。これが足とシューズとの正しいフィット状態なので、かならず順番を守ってくださいね。

体格やパワーによっては初級者用に固執しない選び方も必要となる
〜入門用モデルは、あまり体力がないタイプに合わせている〜

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ここまでラケットとシューズの基本的な選び方を紹介しましたが、初級者のすべてが「これでいい」わけではありません。前提が「初級者はスイングにパワーがなく、強く踏み込むフットワークはできない」なわけで、そうではない例外があるんです。
つまり「体格的に大きくて、しっかり体重があり、人並み以上の腕力がある」方です。そういう方にとって、これまで話してきた初級者向けモデルのラケットは「軽すぎ」で、シューズは弱すぎるんです。

軽すぎるラケットを使うと、普通にスイングしただけでボールがすっ飛んでいってしまい、まるでコートに収まらなくなります。ですから、適度な重さのあるラケットを使わなければならないでしょう。これはもう、スキルの問題ではありません。体格にフィットさせることのほうが重要なのです。まず280〜300gくらいのフレームで素振りしてみて、重いと感じなければ、それくらいから始めてもいいかと思います。

初級者向けシューズというのは、頑強さよりも快適性や軽量性を重視して作られています。ですから体重の重い方が履くと、安定性やサポート力が足りなくて、不向きどころか、危険となる場合もあります。クルマにたとえれば「4WDのSUVに軽自動車用タイヤを履かせる」ようなものですから、ちょっと高額にはなりますが、少なくても中級モデル以上のシューズを選んでください。初めてですから、どれがそういうシューズかわからないかもしれませんね。そんなときはショップスタッフさんに「安定性の高いシューズはどれですか?」と訊いてみてください。上を見ればキリがありませんが、目安としては1万円くらい……プリンスシューズならば【アドバンスドフィット ゲーム10】クラスは必要と思ってください。

テニスというスポーツにおいては、初めての道具がとても大切です。適していないものを選んでしまうと、テニスを楽しくプレーすることができずにやめてしまい、せっかく買ったテニス道具が無駄になってしまいます。自分だけで勝手に判断せず、たとえ初心者でもテニス専門店へ出かけて、一緒に選んでもらうのがいちばんですよ!

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。
試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー

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