Prince Monthly Column

2016/08/10

手のひら環境をチューンナップ。滑らないグリップであなたは強くなる!

真夏のテニスは「対策」だらけ 水分補給・紫外線・汗
~汗対策の中でも、もっとも繊細な「グリップの滑り防止」~

長い梅雨がやっと明け、やってきました 炎天下テニス!テニスをしない人たちは「こんな暑い時期に、熱中症の危険に立ち向かいながら、わざわざ灼熱地獄のテニスコートに立たなくてもいいじゃないか」と言いますが、テニスの季節はやっぱり真夏。若人にとって、太陽は友達。ジュニアや学生プレーヤーたちにとって、真夏の強烈な日差しは、自分の激闘を飾る思い出として心に焼き付けられます。

しかしながら、若さだけで酷暑を乗り切れるものではありません。真夏のテニスへの対策を忘れてはならないのです。まずは「適切な水分補給」。どんなものを、どのようにして飲むべきかを知っていれば身体の疲労を最小限に抑え、熱中症となることを防ぎ、暑さに対抗するための、ボディ環境を整える方法を覚えねばなりません。

次に紫外線対策が重要です。先月のコラムに記したとおり、精悍な日焼けボディを作ってくれる紫外線はけっして無害な光線ではなく、浴びすぎると、身体にいろんな弊害をもたらすのです。肌には、日焼けを通り越して、火傷に近いサン・バーン。度が過ぎると皮膚ガンの引き金にもなります。我々日本人は、欧米の白色人種に比べて少しだけ紫外線には強いですがその危険はゼロではないのです。
多くの人が、知らず知らずのうちにダメージを受けているのが「目」。ちゃんとしたスポーツグラスは、ほぼ100%の紫外線カット機能を備えています。スポーツグラスをかけてのプレーは、アウトドアプレーヤーの常識なのです。

そして、止めどなく流れ出る汗への対策!高機能ウェア、帽子やバイザー、ヘアバンド、リストバンド、コートサイドにタオル。どれも流れ落ちる汗を、うまく処理するために使われるアイテムです。ある意味で「真夏の快適ギア」と言っていいでしょう。ところが、同じ汗対策グッズでも、プレー自体に直接影響を及ぼすものがあります。それが「グリップ環境ギア」ですね。

このカテゴリーの代表選手はグリップテープです。グリップテープもかなり進化し、頻繁に巻き替えれば、けっこう効果的です。でも、それだけではどうにもならないくらい、汗をかくプレーヤーもいます。また、グリップの感覚に対してとてもセンシティブで、可能な限り正確に握っていたい……というプレーヤーもいます。となると、グリップテープだけでは事足りなくなりますから、手のひら側の環境を整えるギアが必要となるのです。

打球のコントロールとパワー伝達はグリップが「鍵」
〜意思どおりのグリップを完成させるために〜

テニスというスポーツにとってグリップは、パワー伝達のギアボックスであり、インパクトの状態を察知する精密なセンサーであり、さらに打球面をコントロールするステアリングでもあります。

プレーヤーの意思を、ラケット、ストリング面に伝達する重要な「かなめ」なのです。昔から、グリップの滑り止めアイテムは、多数生まれてきましたが、「これだっ!」という決定的アイテムは見受けられませんでした。これまでテニスショップで販売されてきた滑り止め用アクセサリーは、グリップテープの他に、粉末状のもの、木屑状のタイプ、さらには粘着性の高い液体を染み込ませたシートなどが売られてきました。

手のひらに汗をかきやすいプレーヤーは、とても苦労するのです。グリップテープはすぐに汗で飽和状態になってしまい、さらにテニス用グローブを使って、なんとか凌いでいる汗っかきの友人もいます。汗のせいでグリップが滑って回され、打球面の角度が狂い、大切なポイントを失って、勝利を逃した経験があるだけに、彼は必死なのです。

プロプレーヤーになれば、生活がかかっているだけに、グリップには非常にシビアです。グリップテープは、試合ごとに新しいものに巻き替えるのは常識。白いテープが灰色になるまで巻き変えない……なんてことは、絶対にありません。グリップに関しては、汗の問題が起こらないように最善のケアを怠りません。

アメリカ フロリダにある『IMGアカデミー』は数多くのトッププロを輩出し、いまだに調整のためにやってくるトッププロは数知れません。そのプロショップで売られている、グリップ滑り止めアイテムが話題になり、日本でも同アカデミーと昔から縁の深い【プリンス】から発売されているのです。

これまでのどんな滑り止めよりも「効く」かも!
〜ジェルを一垂らし……シリカ粒子が手のひらコーティング〜

キャップ全体を引き上げると、先端の突起が引っ込み、ジェルが出る孔が出現。逆さにしてジェルを押し出す
キャップ全体を引き上げると、先端の突起が引っ込み、ジェルが出る孔が出現。逆さにしてジェルを押し出す
パッケージを開けたときの状態はこう。キャップ先端の突起が飛び出した状態。まずこの状態でボトルを上下にシェイク
パッケージを開けたときの状態はこう。キャップ先端の突起が飛び出した状態。まずこの状態でボトルを上下にシェイク

じつは、世界のトッププロも使っているのがプリンス『グリッププラス』です。商品の外見は、ステンシルインクのボトルによく似ていて、まずボトルを上下によく振って、中身を撹拌します。キャップ部を上にグイッと引き上げると、トップ部の突起が引っ込んで液剤が出る穴が出現します。

その中身ですが、変性アルコールとシリカ(二酸化ケイ素)が混ざったジェルです。ボトルを逆さまにしてギュッと押し、ジェル液剤を手のひらに一垂らし。両手を合わせてスリスリすることで、揮発性の高いアルコールはあっという間に揮発し、シリカの微細粒子だけが手のひらをコーティングするように残るという仕掛け。手のひらは、ごく薄っすらと白くなり、驚くほどグリップの滑りを抑えてくれるのです。

汗かきプレーヤーは、この「キュッ キュッ」というフィーリングなどおそらく感じたことはないでしょう。筆者が知る限り、『グリッププラス』による滑り止め効果は、過去のどの滑り止めアイテムよりも優れています。

ここだけの話ですが、使用に際して、注意すべきことを2つだけ伝えますね。まず、液剤の滑り止め効果がスゴ過ぎるため、引き上げキャップ部にまで効いちゃって、しばらくすると、キャップを引き上げるのにけっこうな力が必要になるかも。でも、そこそこ頻繁に使っていれば大丈夫でしょう。

それから黒や紺のパンツを履くときにはボールを入れる左ポケットの口あたりが、ほんのちょっとだけ白っぽくなっちゃいます。両手打ちのプレーヤーは、これも運命と諦めてください m(_ _)m
片手打ちプレーヤーには救済策があります。利き手の上にジェルを落としたら、もう片方の手の中指だけを使って、利き手の手のひらに塗り伸ばすのです。

アメリカ製だけに、混入されている香料は日本人にはあまり馴染みがありませんが、グリップ力は歴然とした効果を見せてくれます。不使用でグリップを握り、反対の手でシャフトを強く捻るとグリップは、ズリズリと回されてしまいますが、『グリッププラス』を塗布した状態で同じようにしても、グリップは微動だにしません。効果は強烈です!

1回に使う量は少量でいいため、1ボトルでけっこう長持ちします。その効果は、テニスギア記者歴30年の筆者が保証します!この夏の大切なギアになることマチガイナシです!!

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。
試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー