とかく大ざっぱな作りのツアー系バッグらしくない気遣い満載スペック!プリンスグローバルデザインの高評価2種バッグ。

とかく大ざっぱな作りのツアー系バッグらしくない気遣い満載スペック!プリンスグローバルデザインの高評価2種バッグ。

テニス用バッグの「ラインナップ」はテニスとの関係性を物語る
〜 自分のスタイルはどのシリーズにハマるのか 〜

みなさん、「テニスブランドのホームページ」で「テニスバッグ」のページをご覧になったことはありますか? そこで最初に気付かれるのは「同じブランドでも、いろんな『デザイン(シリーズ)』ってのがあるのね」ということでしょう。

どのブランドにもあるのが『ツアーシリーズ』とか『プロライン』とか言った「プロモデル」ですね。これは、プロ選手たちがコートへ持ち込む大型ラケットバッグを中心に、いわゆる「いかにもテニスっぽいスタイル」のバッグです。ブランドの看板としてテレビにも映りますから、とにかくカッコいい外観で作られています。そのかわり、内部はけっこうシンプルで、ざっくりと収納するタイプが多いですね。
プリンスでもカテゴリーの頂点に君臨するのが『ツアーシリーズ』で、ラケットバッグもバックパックもブランドカラーのグリーン×ブラックのカラーリングで表現されています。

それから大きな括りとして『カジュアルシリーズ』があり、もう少し日常的に使用できるデザインで、テニスという世界にとらわれずに、気軽に普段使いできるような雰囲気です。もちろん、テニス用バッグですから、スクールや練習に通うのに便利な収納機能を備えているのも特徴で、いろんなシーンで使うことができるタイプです。

そして、もっとシンプルでリーズナブル価格。よく言う「スポーツバッグ」として使ってもらっていい感じのシリーズがあって、『クラブ』とか『チーム』とかってシリーズ名が付いています。そこにはラケットバッグも並びますが、そんなに凝った作りではなく、リーズナブル価格重視であり、小物用バッグや、使われるシーンを特化したバッグもあったりします。
それから、シックで一般的、「これからテニスだぁっ」というニュアンスを抑え、通勤や通学の電車の中でも自然に馴染む感じの『ビズシリーズ』『アウトドアシリーズ』も揃えられています。さらに、使い勝手が幅広いリーズナブルタイプもあり、シンプルさと軽量さが特徴の『チームシリーズ』などもあります。

さて、そんな中でプリンスは、全般的にラインナップが「個性」です。
今回お目見えした『ツアーエボシリーズ』もそのひとつで、「ツアー系なんだけど、使いやすい機能を盛り込んでありますよぉ」って感じかな。だから『EVO』ね。

<あと、今年は新顔として「prince」の文字をテープにあしらった一般ブランドバッグ風の『WMシリーズ』。>
<さらにテニスを感じさせないけど機能は十分というオールラウンド汎用型バッグである『テックシリーズ』など、続々登場の予定です。>

こうしたシリーズから、どのタイプが自分のスタイルにマッチしているのか? を頭の中で想像して選ぶというのが、テニス用バッグ選びの楽しさです。またブランドに拘るというのも「プレイヤーとしての主張」ですね。いまや「ラケットもシューズもウェアもバラバラ」というのが当たり前の時代であり、「バッグなんてブランドは関係なく、使いやすさで選ぶもんでしょ」……なんですけど、あくまで筆者の個人的な感覚ですが「プリンスのラケットを使う人間って、プリンスというブランドのことが好きで選んでいる」という人が多いような気がします。だから気持ち的にプリンスを主張したくなりますね、どうしても。

何これっ? 最大級のデカさなのに、なんて使いやすいんだろう……
〜 使う人間のことを考えたバッグ作り 〜

ラケットバッグ12本入(TE210)

今回も前置きが長くなってしまいましたが、ここで紹介したいのが『ツアーエボシリーズ』の2アイテム。ぼちぼち店頭に並び始めている【TE210 ラケットバッグ】と『TE213バックパック』で、両アイテムとも、まずは「総身ブラック」の超硬派なイメージで登場し、続いて間もなく「ホワイト×ブラック×オレンジ」というライトなカラーリングで登場します。

まずは【TE210 ラケットバッグ】ですけど、パッと見、「なんだかデカい黒いかたまり」みたいな感じですが、届いた製品をじっくり見て「いやぁ、見かけによらず、よく考えられているわぁ!」と感心しました。

筆者はすっかり「日本企画のバッグ」と思い込んでいたのですが、訊いたら「インターナショナル・グローバルモデルです」って!
マジかっ……。
一般的に海外モデルは、作りもイージーで、細かい気遣いなんて無縁のバッグが多いため、「こいつは、細やかな気遣いができる日本人による設計だろう」と信じ込んでいたのですが、海外企画と聞いてビックリ。

まず個性的な開き方をする「大型フラップ」のジップを開くと、ほぼ同じ容量で縦に分かれる2つのコンパートメント。片方には「サーモリフレックス仕様」になっているラケット収納スペース。今年のように体温くらいもある高気温の中、車の中にバッグを置きっぱなしになんかすると、バッグの中だってかなりの高熱にやられます。それでラケットが融けちゃうことなんかありませんが、ストリングには影響があるのではないでしょうか? その影響を緩和してくれるための「気遣い その1」。

そしてもう片方のスペースには、そのままならラケットも収納できるけど、「インナーセパレーター」という、要するに「間仕切り」ができるようになっているところが「気遣い その2」。
えっ? そんなのごく普通にあるだろっ!」って?
あのね、最後まで話を聞いてください。筆者が注目したのは「間仕切り板の角度」なんです。普通なら間仕切りをセットする面ファスナーは「縦に真っ直ぐ」縫い付けられていますが、【TE210 ラケットバッグ】では、ほんのちょっとだけ「斜めにして縫い付け」られているんです。

さて、その心は?

大きくて重いバッグを背負うと、人はわずかに前傾姿勢になります。当然、バッグも傾きます。そうすると、バッグに入っている荷物は「背中側に寄って集まり」ます。となれば、そのうち荷物がカタマリとなって、バッグの中であっちヘ行ったりこっちへ来たり……ごちゃごちゃになるんですね。
それを防ぐために、背中のわずかな傾きを計算に入れて、背負った状態で、中の間仕切り板が水平になるように設計されているわけです。

他にも、やたら細かく凝った仕様になっています。ラケットバッグを縦に持ち上げるために、頭側(グリップ側)に大きなハンドルが付いています。まぁここまでは普通ですが、逆の底側(ラケットヘッド側)には、もっと大きなハンドルが……。つまり、横置きされたバッグを、両手で「ヨイショ」っと、そのまま水平に持ち上げられるわけです。重いものには「両手持ち」が便利でしょ。
やるってくれるよねぇ〜、プリンス・グローバル。

極めつけは、背負った状態で左腕を後ろへやると、ちょうど手の位置にポケットのジップリングがあるのですよ。これをそのまま引き上げれば、ラケバを背負ったままでアクセスできるポケットが出現。財布やスマホをここへ入れておけば、ラケバを背負ったままで、簡単に取り出すことができます。

これを設計した人は、カバンのことを熟知した「プロ」です。こんなデカいバッグに、ここまで細工をするラケットバッグ設計など見たことがありません。ほとんど「趣味」ですね(笑)

一見、ごく普通のデイパックに見えるんだけど、価格相応の価値は十分だね!
〜 コンパクト設計にシャレた仕掛けが 〜

テニス用バッグの「最小限スタイル」……それがバックパック。誰もが1つは持っている便利バッグ。電車に乗り、街を歩けば、「両手フリー族天国」。30年前、いったい誰がこんの世の中を予想し得たでしょう。バックパックとは、正確に言うと「最大型の背負い袋」「登山者用の大型リュックサック」を指す単語で、昨今『バックパック』と呼ばれているのは『デイパック』のことですが、もはや『バックパック』に市民権を奪い取られてしまった感があります。

巷には、1000円以下でディスカウントショップに並ぶものから、徹底的に機能を追及した少量生産ネット販売のバックパック、さらにはそんなに機能的ではなくても、高級ブランドが4万円だ、5万円だで販売するファッション的バックパックまで多種多彩。その中にあって、テニス用バックパックは、「テニス」というシチュエーションに特化しつつ、日常でも使えるバッグとして、5000円台〜15000円くらいまでの多彩さがあります。

今、店頭に登場し始めたプリンスの新型バックパックである『TE213バックパック』は、並んでいると見過ごしてしまうほど地味な真っ黒さ(間もなくニューカラー登場)で、形としてもきわめて無難なシンプルデザインですが、先に紹介した【TE210 ラケットバッグ】と同様に、けっこう凝った仕掛けがしてある掘り出し物。

バックパック(TE213)

大きさ的には「やや小振り」な印象で、足の大きな方がテニスシューズを収納すると、他のテニス道具はミニマムセットとなる感じです。ところが「使い勝手」はすこぶる良くて、ジップの開け閉めがとてもしやすい「大型リング式ジッパータブ」のおかげで、ノーストレスで使えます。細かなことですが、急いでいるときなんかに、小さなジッパー引き手を探すのは、ものすごくイライラしてしまいますが、このジッパータブは、親指でも入ってしまうリングが「ハイ、ここですよ、ここね!」と主張するので、とてもありがたいです。

ラケット収納は、背中側に1本分かな。メインルームには、背中側にスリット式のオープンポケットが大1・小2。フラップ側には、メッシュのファスナーポケットが1つ。トップ部にあるハンドルの「手のひらに当たる側」は、非常に手触りの良い素材でカバーされ、その後ろに深めのファスナーポケットがあります。

またオシャレなのが、フラップ外側に組み込まれたポケットです。左右にファスナーがあるのはめずらしくありませんが、一般的なタイプは「左右に口があっても、中は一つになっている」んです。でもこれは「左右が別のポケットで互い違いに配置されている」特殊なもの。いろんなものを分配して収納できるため、テニス用だけではなく、ビジネス、カジュアル、お買い物でもコンパクトで機動力を発揮してくれる「テニス対応型多目的バックパック」として税込 ¥9,900。それだけの価値は十分にあると思いますよ!

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー