Prince Monthly Column

2020/06/17

ガッツリ ワイド!なのに、スマート!
快楽テニスシューズはすでに売れちゃってます!

あの【エアロフィットゲーム】が【ワイドライト】の兄弟分として復活
〜 帰ってきたプリンスのヒットシリーズ! 〜

ワイドライト アドバンス

みなさんがテニスショップへシューズを買いにいったとき、「どれを買ったらいいかわからない」状態になったことはありませんか? あまりにたくさんのシューズが並び、頭が混乱してしまいそうです。

大きなショップでは、対応コートサーフェス別に分類して展示したり、各シューズに特徴を明記したりして、お客様が選びやすいようにしていたりしますが、こぢんまりしたショップでは、スタッフさんのアドバイスだけが頼りというケースもあります。

「わかりやすさ」……。テニスシューズの開発では、これが非常に大切なんです。すべてのシューズに「足を入れて確かめてください」というわけにはいかないので、できるだけ早く的確に「それを求めている方に届ける」ためには、それがどんなシューズで、どういった方に適しているか? を積極的に発信できる要素こそ肝心です。

それが「マーケティング」。人々が何を求めていて、どんなものを好むか? を正確に把握し、ドンピシャの商品を投入するのです。またその逆に、期待をはるかに越えたものを提供する方法もあり、【ワイドライト III】などは、まさにそれですね。従来の性能を大幅に進化させ、ワンランクグレードアップさせました。

それに対して「ドンピシャ作戦」が、ここで紹介する【ワイドライトアドバンス】です。キーワードはズバリ『ワイド』!
テニスシューズの設計がどんどんタイトになってきている昨今、幅広の足を持つプレーヤーは辛い思いをしています。かつてプリンスには【エアロフィットゲーム】というシリーズがありました。バリバリの競技派ではなく、快適にテニスライフを楽しむために最適だと、たくさんのファンを抱えていたのです。

筆者が【ワイドライトアドバンス】を初めて見たとき、「あのコンセプトが帰ってきたんだぁ」と思いました。それくらいわかりやすいのです。その名のとおり、明確に「ワイド」です。シューズを真上から見たとき「うんっ、たしかに幅広だ!」と認識できる『4E』設計。今日では「ワイド」を謳うテニスシューズでも、ほとんどが「3E」であり、『4E』設計はきわめて少なくなっています。

プリンスはこれを「もう一つの【ワイドライト】!」として、先行モデルの兄弟分としてラインナップさせました。この明確なワイドさで幅広プレーヤーの心を惹き付け、ワイド好きプレーヤーが超安心して履けるスペックを組み合わせて登場したことで、発売後、ぐんぐん売れ行きを伸ばしているとのことです。プリンスのスタッフは、売れないものを「売れてます」とは絶対に言わないので、信じていいと思います。

求められているのに消えつつあった「売れシューズ 三種の神器」
〜 「ワイド」「ホワイト」、そして「ミッドカット」〜

ワイドライト アドバンス

それが本当かどうかを疑うまでもなく、【ワイドライトアドバンス】には「売れる条件」が詰まっています……というか、それだけで構成されているシューズです。

「ワイド」に関しては前述のとおり。【ワイドライト】【ワイドライト II】は「ワイド設計なのに幅広く見えない」がウリでしたが、今作は「見るからにワイド」。女性は「幅広に見えちゃうのはイヤだわ」とおっしゃいますが、男性の幅広プレーヤーやベテランプレーヤーは「はっきり幅広なのが安心」なので、ピンポイントで「ワイド好きプレーヤー」にターゲットを絞り込んだ感じです。

それから「ホワイト」という選択は、このカテゴリーに絶対不可欠なカラーです。近年のテニスシューズは多彩なカラー化が進み、かなり派手なものもあって、それはそれで「強そう」「カッコいい」「元気っぽい」など、溌溂とした印象があるんですが、多くの愛好家たちの求めるところはちょっと違います。

派手ぶらない落ち着いた印象、かといって辛気くさくない、ちょっと新しい感じ。ホワイト+ネイビーは、テッパンでそれに指し色として鮮やかなレッド。ネイビーとレッドを組み合わせると、どうしてもレッドが沈んだ感じに見えてしまうのですが、そうならないように赤の明度をわずかに上げているんじゃないでしょうか……たぶん何度も試作が繰り返されたことでしょう。

そしてそして、決定打が「ミッドカット」です。80年代後半から90年代、テニスシュースは「ミッドカットじゃなきゃ売れない」とまで言われ、日本のテニスシューズ売り場は、見事にミッドカットで埋め尽くされました。その後、世界基準のローカットが増え、プリンスでは2003年にローカットモデル【モアリニアツアー】が誕生し、いわゆる『Zシリーズ』として【プロホールドツアー】→【ツアープロ】と受け継がれています。

日本テニスシューズ市場の悪いところは、なにかがウケると、み〜んなこぞってそっちへ流れてしまう傾向があることです。それまで「神」のように崇め祭っていたミッドカットをポイ捨てし、すべてが右へ倣え……。あんたらがそれまで言っていたことは何だったの? っていうくらい、真似するのが好きです。デカラケが流行ったときも、長ラケが注目されたときも、雨後のタケノコのようにゾロゾロと。

最後までミッドカットを守っていたのはプリンスでした。昔は「ミッドカットだと足首を守ってくれる」、あの感覚が「安心だ!」というプレーヤーは確実に多数存在していて、その期待に応える形でプリンスは作り続けたのです。

【エアロフィットゲーム】のミッド思想は一時途絶えましたが、【ワイドライト III】はミッドカットで登場。もちろん【ワイドライトアドバンス】も、安心のミッドカット設計です。こうして「ワイド」「ホワイト」「ミッドカット」という『三種の神器』を備えた【ワイドライトアドバンス】が売れないわけがないのです!

ダンビロも甲高も、フィットのポイントはカカトにあり!
〜 ワイドに履いて、スマートに見せる 〜

ワイドライト アドバンス

このシューズのことを正しく伝えるにあたり、どうしても触れておきたいことがあります。この【ワイドライトアドバンス】は、とても幅広な足のプレーヤーにために作られたものですが、踵のフィット感は秀逸です。ワイドモデルというと、長靴を履いたようにブカブカな状態を想像するかもしれませんが、しっかりしたヒールカウンターを装備し、しかもミッドカットでアキレス腱の後ろまで立ち上がる履き口が、安心感を与えてくれます。

みなさんが新しくシューズを選ぶときのフィッティングで最初に感じてほしいのは「踵のフィット感」です。足を入れて踵をトントンとして、踵がピタッとヒールカップに収まってくれずに隙間を感じる場合は、紐を締めるまでもありません。別のシューズを探しましょう。それくらい、踵のフィット性は重要なので、忘れずにチェックしてください。ワイドモデルだからルーズでもしかたがない……ということはありませんよ。

最後に【ワイドライトアドバンス】の面白い面を紹介します。このシューズ、真上から見たとき(つまり自分の目線からは)露骨なほど幅広に見えるんですが、目線を変えて横から見ると、ビックリするほどスマートなシューズに見えます。つま先上の空間が少なく、低くフィットしているため、横姿からは、ワイドモデルだなんてとても想像できません。

プレーしているときのシューズの見え方って、ほとんどが「横から」です。真上からは自分だけ、正面から見るのはネットの向こうにいるプレーヤー。とても幅広なことなどわかりません。ですから、このシューズは、とてもスマートなシューズという印象が強くなります。

アッパーの素材もとても個性的で、スポンジクッションの上に格子状にカットされた不織布ベースを貼り、さらにその上から織物メッシュでカバーするという凝った風合いの素材感を醸し出しています。高い強度がありながら軽量化できる設計で、脱RPU(樹脂素材)の新しい提案といえるでしょう。

全体に白というイメージを崩さないため、補強すべき部分は目立たない透明樹脂でカバー。つま先と拇指球側を耐摩耗性の高い人工皮革で補強。気合いの入った4Eワイドモデル、お試し使用から、どハマりするプレーヤーも少なくないはずです。

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。
試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー

MORE INFO