Prince Monthly Column

2017/01/17

まるで膝にバネが組み込まれたような『ジェネレーター』! 女性用下着メーカーだからこそ生み出せた【CW-X】という文化

コンディショニングウェアの元祖【CW-X】初体験の思い出
〜「タイツを履くなんて恥ずかしい」という時代だった〜

CW-X
今から25年前、ワコールさんから「試してみませんか?」と、モニター商品が届きました。
それは「コンディショニングウェア」という新ジャンルのアイテムで、なんと「タイツ」です。
女性であればストッキングを履き慣れているでしょうが、男性である筆者にとってタイツは幼稚園の頃以来の体験。

時代はまだ、短くてタイトなショートパンツが主流で、アンドレ・アガシの影響で、大きめでちょっとだけ長裾のパンツの下にショートスパッツを履くスタイルが産声を上げ始めた頃の話です。
「脚全体を覆い隠すロングタイツを履くなんて、バレエダンサーじゃないんだよ!」といったノリですから、ロングパンツの下に隠し履くように試しました。

30年以上ぶりに履くタイツは【CW-X ジェネレーターモデル】
恐る恐る履いてコートに立つと、なんだか下半身が軽い。
なんとなく安心感があって、大きくサイドに振られたり、ドロップショットを拾いに走るときも、大胆に踏み出すことができるのです。

んっ……、これはいいかもしれない!
膝に不安を抱えながらプレーしていた筆者は、いろんな膝用サポーターを試してきましたが、これは脚全体をカバーしてくれるために膝への負担が分散するのか、専用サポーターとは違う安心感があります。
今では誰でも知っているワコール【CW-X】ですが、下着メーカーが作ったコンディショニングウェアというものに多少の疑問を持っての初体験でしたが、ところがどっこい、クセになったのでした。

「女性下着メーカー」のワコールだからこそできた訳とは?
〜あのアイテムを作る技術が【CW-X】を生んだ〜

CW-X
当初に抱いた疑問……「下着メーカーがスポーツ用タイツって?」への答は、むしろ逆のもので、「下着メーカーだからこそ作れた」のでした。
ワコールは、女性用下着の「ガードル」に使われる引き締め技術を持っていたこと。
さらに日本人の体型についての膨大なデータを持っていたことが、【CW-X】の開発におおいに役立ったのです。

今回、ワコールさんから、【CW-X】誕生の舞台裏についてコメントをいただきました。
非常に興味深いので、ほぼそのまま紹介させていただきます。

『ワコール人間科学研究所研究員の妹がスキーに行き、膝の靭帯を痛めた。
同行者に伸縮性のあるテーピングをしてもらったところ、痛める前と同じように滑れたのだという。
この話を聞いた姉の研究員は、それを研究テーマとした。
スポーツテーピングは「技術がないと巻けない」「肌がかぶれる」「汗をかくと剥がれる」「使い捨て」であるといったデメリットがある。
関節の負担を軽減するテーピングには専門知識がなくても、誰でも簡単に使えるテーピング効果のあるものはできないものか? という発想のもとで【CW-X】が生まれた。
テーピングは、粘着性のあるテープをポイントに張り付ける。
衣料でこの効果を出すためには、着用した際にテーピング効果を得るサポート部分に、テープに相当する素材が確実にフィットし、適切な圧をかけ、動いても着崩れないことが条件となる。
ここで生かされたのが、女性下着メーカーとしての、ガードルのパターン設計技術と縫製技術だった。
ワコールにはこれら技術に加えて、身体に関するデータの蓄積もあった。1964年に設立した、人間科学研究所には独自で計測収集した女性35000人(男性5000人程度)の身体データがあり、これを基に各部位の高さと周径をサイズごとに最適な寸法基準を確定し、機能の確保に役立てている。
1991年の秋、テーピング機能のある【CW-X】の誕生当初は、女性用のみ。
商品はナイロン素材、太もも前側サポート・膝関節サポートのあるロングガードル。
お腹押さえとヒップアップが付いて、価格は13,000円だった』

先例のない新アイテムが、けっこうなお値段ですから、なかなか広まらないだろうなぁ〜と感じていましたが、各種スポーツのアスリートたちが、パフォーマンス向上のために取り入れたのです。
現マイアミ・マーリンズのイチロー選手が、【CW-X】をおおいに気に入って着用を始めたというニュースは、一般アスリートたちの興味をそそったものです。
なぜなら、彼は「これはイイ!」と信じた道具は、契約の枠を飛び越えても使用するという選手だけに、【CW-X】への信頼性はグンッと跳ね上がったのでした。

【CW-X】に関する噂は、使用者たちによる口コミで広まりました。
まだSNSなどなく、パソコン通信がやっと始まったような時代ですから、本当に口伝えです。
その評判を聞いたスポーツメーカーは、似たようなインナーウェアをこぞって発売しましたが、それによって【CW-X】がダメージを受けたという印象はありません。
むしろそれらを試したアスリートたちは、【CW-X】との機能差を再認識し、ますます【CW-X】への信頼度は高まります。
これがパイオニアの強さというものでしょう。

ワコールさんからは
『発売当初から【CW-X】は世界で通用する商材であるという認識を持ち、欧米をはじめとする各国で知的財産権を取得し、他社の追随を許さぬ体制を固めた。
【CW-X】の売上は発売当初の91年度下期の約3600万円に対して、2016年度通期は約55億へと伸びている』
というコメントをいただいています。

腰が安定して真っ直ぐ立てる『GENERATOR(ジェネレーター)』の実力
〜厚手の生地がガッチリとポイントを押さえる感覚〜

CW-X
ベテランのテニスプレーヤーならば『ワコール』という名は、実業団テニスの世界で強豪として鳴り響いたという憶えがあるでしょう。
それに関するエピソードもありました。

『ワコール実業団テニス部のユニフォームを【CW-X】で作ることになり、アンダースコートに【CW-X】の機能を取り入れるプロジェクトが生まれる。
「腰・股関節」機能のあるアンダースコートが理想とし、【CW-X】プロモデルのサポートラインをリモデルして、短いけれども、「腰・股関節」サポート機能搭載を試みた。
プロモデルのロングタイプにはない腹筋サポートも付加し、腰が気になる方にも安心して着用できるタイプとして開発。
当時、お客様からも、プロハーフよりも、もっと短いタイプが欲しいという要望もあったが、トライアスロンなどマニアックな競技の方からの要望だったため、なかなか商品化できなかったものの、テニスで新たな考え方のアンダースコートとして開発したことで、短くても高い機能性を持つことが証明され、認知度も高まった』

そんなこともあって、テニスにおいても隠れた武器になると認知したプリンスは、2007年からワコールとタッグを組み、【prince】×【CW-X】のダブルネームで各種シリーズを展開。
筆者もさまざまなアイテムを試し、非常に気に入って愛用し続けている【CW-X】が複数あります。

今回、筆者が試させてもらったのは、【ジェネレーター】というロングタイツで、腰からひざまで下半身をフルガード!を掲げるハイスペックモデルで、腰、ひざ関節の安定性に加えおしりと太もももをサポートすることで、体幹のブレを軽減して、止まる・ねじるなどの素早い脚の動きから下半身を守るアイテムです。
初めて試した【エキスパート】よりも全体的に厚手の生地の印象があり、補強テープ部はかなり強靭にできています。
まるでウェットスーツのボトムを履くときに似ていますが、履いて立った瞬間に、膝にきわめて強いサポート感を覚えます。
膝を曲げてみると、両脇にメタル製のステーが装備されたサポーターを着けたみたいなのです。
まるで膝にバネが組み込まれたみたいで、曲げ伸ばしが楽チンそのもの。

腰回りのサポート感も上々で、揺れる電車の中でも下半身が安定して、楽に真っ直ぐ立っていられるのです。
下半身全体の強靭さを増強するジャケットを纏ったみたいです。
タイツを履くだけで、これほどの安心感とパフォーマンスアップを手に入れられるなら、17,000円(税別)の価格もさほど高いと感じないほどです。
用途やパフォーマンスレベルによって【スタイルフリー】、【エキスパート】、【スタビライクス】、【ジェネレーター】から選べます。

また、prince×CW-Xの製品は(公財)日本バドミントン協会審査合格品ですのでバドミントンプレーヤーの激しい動きもサポートします!
まだ【CW-X】の経験のない方、試す価値ありです!

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。
試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー

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