こりゃスゲェ〜!!! 科学だ宇宙だ、熱相転移物質だ。冷水に20分でカチンコチン。ずっと冷たい【コスミックアイス・ネックバンド】だ!

扇子→ハンディファン。様変わりするプライベートクーリング
〜 現代の若者の脳では、風鈴など役に立たない 〜

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これからやってくる夏、暑さとの戦いが始まります。日本では古来から、夏の風物詩といえば「浴衣・団扇・風鈴・蚊取り線香」と相場が決まっています。普段は裏地がついた着物を着ていても、夏は綿の一枚布で仕立てられた浴衣に、手には風を起こすための団扇。

この「しつらえ」を見ただけで「あぁ、夏だねぇ」なんて風情になるものです。これは実際に暑さを凌ぐための効果を持っているものですが、風鈴の音色なんてものは、じつにどうも涼しい気分にしてくれるものですな。ですがこれは、日本人の風習によって脳内に刷り込まれたもので、実際に冷やしてくれるものではありません。

ましてや蚊取り線香にいたっては、火を使うわけでして、冷たくも寒くもないのですけれども、1960〜70年代のTVコマーシャル『キ◯チョーの夏、日本の夏』という美空ひばりさんの声によって、50代以上の方の心に染み付いてしまっています。あの香りが漂ってくると「あぁ……夏だなぁ……」という文字が、自動的に頭に浮かんでしまうわけです。

しかしながら、昨今は本当に冷やしてくれるものこそが認められ、「心で涼もう」なんていう情緒や風情なんぞ相手にしてもらえない世の中です。昨年は「ハンディ扇風機」なるものが大流行ですよ。女の子たちは、なんだかカラオケマイクのてっぺんが潰れたヤツみたいなのを顔の前にかざしてます。初めて見たときは「ついに電子タバコだけじゃなく、電子ロリポップまで発売されたか!」と二度見しちゃいました。

キャンディ部分を顔に向けて、じっとしてるだけ……という姿が街のいたるところに。今の若い子に「扇子を持てぇ〜い」と叫んでも相手にされないわけで、自分はちょっとでも動かずに涼しい思いをしようという、なんとも世知辛い世の中です。

そもそも扇子や団扇というものは、自分に風を送るのではなく、自分に向けて煽ぐ風情で、じつは近くにいる相手に風を送るというものなのです。これこそが日本人の情緒というものですが……いや、じつにどうも……

さて、オニ暑のテニスコートの汗だく騒ぎでは、情緒も何もあったもんじゃありません。とにかくなんとかしたいわけです。世間で安価に手に入れられるクーリングアイテムが、蓄水素材を内封した「ネッククーラー」でして、水に浸して首に巻き、その気化熱で涼を得るというものですけれど、「涼しいっ」と感じるのは最初の数分で、あっという間に体温と一体化して、ぬる〜くなってしまいます。

プリンスには【クールキャップ】という夏のヒットアイテムがあり、同様に気化熱を利用するシステムですが、こちらは髪の毛によって肌と直接に触れないため、そういった感覚はありません……いやあの……フサフサでない方にもご愛用いただいています。

「西遊記」孫悟空の頭に着けられた環みたいなクーリングアイテム
〜 なんじゃこりゃっ! まずは首悟空になってみる 〜

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これまでの暑さ対策は、こうした手軽なアイテムが中心でしたが、今年、【NASA】の御威光を借りて、スゴいのが登場しちゃいました。それがこの【コスミックアイス・ネックバンド】です。その価格を知ってから実際に使ってみるまでは「いやいや、高価すぎるって」と思っていたのですが、いざ使ってみたら、その想像をはるかに越える実力のリバウンドがスゴすぎました。

だってなんだか、形がナメてるじゃないですか。孫悟空が観音菩薩から乱暴を封じるために頭にはめられた『緊箍児』(きんこじ)……三蔵法師のいうことを聞かないと、環がぐいぐいと頭を締め付けるというアレです。言ってみれば「孫悟空のシンボル」みたいなもので、あれがなければ悟空もただの猿にしか見えません。

おっと、【コスミックアイス・ネックバンド】です。そのときの気温にもよりますが、封を切る時点で、なんだか中身は固まってる様子。「これが冷たいんだよ」といわれても、俄には信じがたいわけですが、恐る恐る首にはめてみると、アレっ……、冷たいんだけど……、どうして???

このテクノロジーの鍵となっているのが「PCM = Phase Change Material = 相転移物質」といって、宇宙飛行士を急激な温度変化から守るためにNASAが研究開発した「溶けない氷」なのだそうです。いや、溶けるんですけど、溶ける温度=融点が「27℃」と高いところにあるため、それ以下の温度では「凍っている」のです。

「相転移」というのは、固体が液体になる際に周囲から熱を吸収し、同じだけの熱を放出することで液体から固体に戻ることを言います。わかりやすく言うと「氷」⇔「水」で、これは「転移点:0℃」の相転移です。「氷が溶ける」という現象は、「個体である氷は、周囲から熱を吸収することによって液体になる」相転移物質なのです。

水の場合は「転移点:0℃」ですが、【コスミックアイス・ネックバンド】には「転移点:27℃」。つまり冷凍庫内ならばたったの10分、冷水に浸けておいても20分で「凍る」物質が封入されているのです。冷水に浸けておくだけで凍るなんて話、最初はオジサンの頭には理解できませんので、いろいろ試してみました、冷凍庫では10分もかかりませんし、冷蔵室でも15分もあれば十分。水道水に浸けておいても凍ってしまっていました。う〜ん、なんか「凍る」って言葉に「氷:0℃」のイメージが固定化されてしまっているので違和感があるのですが、間違いなくカチンコチンに凍っています。気温20℃のベランダに放置しておいても凍ってました。極端な話、ひんやり冷房の効いた室内でも凍っちゃいますよ。

体温を下げるには「動脈を冷やせ!」 強制的に体温をコントロール
〜 首とワキなどを冷やして39℃の高熱を下げて成田空港へ 〜

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人は、熱を奪われることで「寒さ・冷たさ」を感じます。【コスミックアイス・ネックバンド】は、27℃より暖かいものに触れると、液化しようとして熱を獲得し始め、触れているものから熱を奪います。だから着けている人は、非常に冷たく感じます。とくに首を冷やすのは、効果があると思います。

首を冷やせば、脳へ流れ込む血液の温度を下げることができるんじゃないでしょうか。脳という組織は高温に弱く、炎天下では脳内温度が40℃を越えてしまうこともあり、44℃以上になると脳は機能障害を起こします。

カァーッとしてると冷静な判断ができなくなって、「頭を冷やせ!」なんて言われることがありますけど、じつはあれ、ホントのことなんですね。軽い脳機能障害ってことでしょうか(笑) 人がアクビをするのも、副鼻腔から熱を抜き、脳を冷却するためと研究報告もあります。猛暑の炎天下においては、まずは頭を守ってあげる必要があるのです。

首には「頸動脈」という太い動脈が通っています。動脈内の血液温度を下げることで、体温は高熱から免れることができる……という体験をしたことがあります。グアムへアパレル撮影に行く企画を立て、カメラマン・モデル・ヘアメイクのスケジュールを押さえ、飛行機・ホテル・撮影の手配・撮影に着てもらうウェア・ラケットやシューズなどの小道具など、ありとあらゆる準備を終え、あとは成田へ向かうだけという前夜、風邪で39℃の高熱を出しました。

翌朝、スタッフのみんなに連絡すると「大丈夫だよ、僕らに任せて!」と言ってくれましたが、冗談じゃない! なんのために一人で苦労して準備してきたんだ。とにかくカメラマンに迎えにきてもらうよう頼み、最後の手段「体温激下作戦」を決行です。とりあえず体温だけでも下げればなんとかなると信じ、太い動脈が通る「首」「腋」「鼠蹊部」に保冷剤を当てて、一気に冷やしました。

するとどうでしょう……荒れ狂う体温は鎮まり、顔は真っ青ながらも飛行気に乗ると、なぜか急激に回復して、到着した深夜3時にはホテルの部屋で撮影成功を祈って乾杯(という飲み会)をしていました。まぁそれくらい、動脈を冷やすと体温を下げることができるという話です。ですから、首を冷やしてくれる【コスミックアイス・ネックバンド】は、じつにどうもナイスな道具なのです。

さて、使ってみてビックリしたのは「冷感の持続性」です。高い抗菌力と肌に優しいTPU素材でできたリングチューブ内に充填された物質は、カチンコチンの状態からゆっくり溶けます。その間、首には冷感を配給し続けてくれるわけで、その持続時間は「60分〜90分」。室内でじっとしているだけならば、完全に液化するのに余裕で90分超えです。

溶けるのにこんなに時間がかかるのに、固化するのには「冷水で20分」ですよ。もしコート横に水道があるならば、水を溜めた洗面器などに浸け、チョロチョロと水を流しておけば、カチンコチン復活です。まさに夢のようなアイテムというわけ。

また形状的にしっかり首にフィットしてくれるため、プレー中でも外れて落下するなんてことは、まず起こらないでしょう。装着した瞬間には、首にちょっとした圧迫感はありますが、フィットしているという証拠で、数分後には圧迫感は消え、冷感だけを感じ続けるのです。

これは「買い」ですよーっ! 見かけのわりに高く感じてしまうかもしれないけど、いやいや、こんな恩恵に預かれるなら、「常時2本備え」でいたいくらいです。なんともまぁ、さすが「NASA」由来ですな!

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松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー