高機能ソックスの印象ガラリ!履いてるストレスがまるでなく、慣れたら超快適、フィンガークッション

3足=1,000円のソックスとその8倍の機能ソックスって何が違う?
〜「ソックスなんて安いのでいいよ」……どうして?〜

あなたは、足回りの環境に気を遣うほうですか?
いろんな方に話を聞いてみると、プレーレベルに関係なく、「まーったく気にしない。3足=1,000円ので問題ない」という方と、「1度、機能ソックスを履いてみたら、とても良かったので、それ以来、安いソックスは履けない」方と、二分される印象を受けました。

プロ選手でも、ソックスにまるで無頓着な人もいれば、初中級レベルなのに、ソックスには敏感な方もいます。たしかにそのとおり、機能ソックスは、けっして上級者のためだけに作られたものではありません。プレーアビリティが高くても、さほどでなくても、シューズの中で足を効率的に動くようにしたり、瞬間的に足にかかる力によってダメージを受けにくいようにサポートしてあげる機能は、誰にとっても利益のあるものです。

一般的なテニス用ソックスは、おなじみ「3足=1,000円」と、高額アイテムでも「1足=1,000~1,500円」程度の価格帯で満たされています。1,000円強でも圧着によるサポート機能や、クッションが必要な部分は厚く、そうでない部分は薄く作るというものもあります。

今日の高機能ソックスは、もっと進化していますが……高価です。安価なソックスの8倍以上。耐久性の低い安価なソックスを消耗品として履き潰してきたプレーヤーにとってはとんでもない価格です。ソックスは安いものをどんどん消費していけばいいという考え方もあるでしょうが、一度は高機能ソックスなるものを試してみてから判断してもらいたいですね。「すべてのテニスプレーヤーは高機能ソックスを履くべきだ!」などとは言いませんが、「そういうソックスがあるのだ!」ということは知っていてほしいのです。

ソックスは、足とシューズをつなぐ大切なギアだ!
〜あなたはチグハグな選択をしていないか?〜

5本指サポートソックス
近年のテニスシューズは、高機能モデルであれば、13,000円〜15,000円ほど。プリンスのハイエンドモデル【TOUR PRO Z II】は14,500円! そうした優れたシューズを選んで履いているのに、ソックスは「3足=1,000円」をご愛用。

なんだかチグハグじゃないですか?
「シューズがいいから、ソックスはどんなのでもいいんだよ」なんて言う人がいたら、軽く笑ってあげてください。ハイグレードなテニスシューズにチープなソックスって、「A5ランクの最高級黒毛和牛を、精製塩を振りかけて焼く」みたいなチグハグさです。せっかく最高のお肉を食べるなら、その素晴らしさをきちんと表現できるような塩を選んで使うでしょう。それとも「肉がいいから塩なんて何でもいいよ」と言う人に賛同できますか?

テニスシューズとソックスは「一体」と考えるべきと思っています。片方を生かすためには、それに見合った相方であるほうがいい。シューズのことを「フットウェア」と言いますが、ソックスはフットウェアの一部です。フットワークのパフォーマンスを最大限に生かそうというシューズを履くのであれば、足とシューズをしっかりリンクさせるために、足の機能を活かすためのソックスを間に入れるという考え方は正しい方向性かと思います。

履くのは超めんどうくさいけど、履いてしまったら天国だ
〜こんな自然な履き心地は安価ソックスでは味わえない〜

ここで紹介するのはプリンスの最高機能ソックス【メンズ5本指サポートソックス】です。履くのが非常に面倒くさいという関門はたしかにあります。しかし、それを我慢できるほどのメリットがあるから「5本指ソックス愛好家」が増えているのです。

最大のメリットが「快適さ」です。足でもっとも汗をかきやすいのが「指部分」で、その汗がたまるのが「足指と足指の間」「足指の腹」。しかも通気性の低いソックスを履いていると、足指あたりは不快さに悲鳴を上げているはず。でも5本指ソックスは、足指すべてにフィットしますから、汗がたまることがなく、足指が喜びます。足指のそれぞれが自由に動く感覚となって、踏ん張る感覚やサーフェスを掴もうとする感覚が脳に伝わり、無意識に次のフットワークを向上させ、より良いフットワークへと導かれるのです。

たしかに履くのは超面倒な5本指ソックスですが、その違いは歴然です。
もうね、我慢して一所懸命に履くしかないわけですよ。

フィンガークッションの新感覚で踏ん張れる
〜足指を疲れさせずに元気なフットワークを保つ〜

5本指サポートソックス
プリンスには普通の5本指ソックスもラインナップされていて、そちらは1,300円と、およそ半値。それでも十分に快適なんですが、プリンス【5本指サポートソックス】は筆者の想像を超える素晴らしさでした。

過去のサポート系ソックスは、やたらと足を締め上げて「サポートしてます感」を醸し出していましたが、数時間履いていると、足がジーンとするほどキツいんです。ところがこのソックスは、ほとんど締め上げ感がありません。自分的には「履いている感覚がない」ほどナチュラルです。なのにサポートされている感覚は十分にあるのが不思議。おそらく「立体設計」が非常にうまくいっているのだと思います。まさに「ストレスレス」!

その「履いてない感覚」と対極にある違和感が「フィンガークッションシステム」。誤解しないでください。違和感というのは「不快感」という意味ではなく「存在感」で、足指の腹部分に、あきらかにクッションが存在します。フットワーク1歩ごとに、足指の自然な曲がりは伸ばされ、それが自然なクッションの役割を果たしてくれるのですが、長くプレーし続けると疲労のため、クッション機能が低下します。その疲労を抑制しながら、足指部分全体で、コートサーフェスにシューズを押し付けて密着感を増し、パワーの伝達効率を上げてグリップ性能をサポートするのが新機能です。

踵部のクッションサポートもよくできていて、普通のソックスは、踵部をまるごと覆うように厚くなっていますが、【5本指サポートソックス】では45°方向に切り込みが入っています。これがあるおかげで、踵部がゴロゴロしてしまうイヤな感覚がなく、ソックスが足につねにフィットしてくれているんです。

あらゆる意味で、【5本指サポートソックス】はテニス用ソックスの最先端であることは間違いなく、十分に2,500円の価値はあると思います。編み上げもしっかりしていますので、耐久性に関しても「3足=1,000円」のソックスとは比較にならず、かなり長く使うことができます。ここはもう「騙されたと思って」一度履いてみてください。

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー