「よく見えちゃう!」から反応レスポンスを加速。強くなれるし、素早く危険回避。
インドアやナイターでの視覚増強アイウェア!

「サングラスは眩しいときに」なんて常識……もう古すぎィ!
〜 テニスでもっとも大切な視覚情報を迅速に獲得する 〜

かつて「サングラス」と聞いて多くの人がイメージするのは、「眩しい」「オシャレ」でした。しかし目の研究が進歩した今日、それにはとても大きな使用メリットがあることがわかっています。

もはやサングラスは「眩しいときにかける」だけのものじゃなくなっています。いまでは「サングラス」→「スポーツグラス」として、目の機能をサポートする「スポーツギア」であることが認知されているのです。

最初に大きな注目を集めたのが女子マラソンのテレビ中継ではないでしょうか。スタートラインに立つほとんどの選手がサングラスをかけているのは、けっして眩しいからではありませんでした。彼女たちがサングラスに求めたのは「集中力」でした。

裸眼ではなく、レンズを通して見ることで、視覚情報を「スクリーンに映るビジョン」として獲得できるのです。必要ではない視覚情報をカットし、走るために必要な情報を得やすくし、自分を客観的に見つめるためのアイテムです。もちろん、風で目が乾きすぎたり、埃や虫などが目に飛び込んでくるのを防ぐという役目もありました。

次に「ほとんどの選手がかけていた」のがスピードスケート。ただ走るだけよりも高速走行となるスピードスケートでは、風や異物から目を守る必要性がより高かったからです。同じ目的で競輪の選手も、トライアスロンの選手も、サングラスをかけて戦う姿を目にすることが急激に増加したように思います。

もはや、サングラスは眩しさ防止の目的ではなく、スポーツにおけるパフォーマンスアップを図るための「ギア」として使用される時代になっています。昔は「あの人ったら、なにカッコつけてんのよ!」と言われましたが、今ではそんなことなどありません。

さて、テニスコートでもサングラスをかけてプレーすることを積極的に取り入れたのは、じつは「女性プレーヤー」でした。その目的は「紫外線カット」です。日焼けは乙女の大敵ですが、肌を隠すだけでは十分ではないことが分かってきたからでした。

紫外線が目から入ると、脳は自動的に「紫外線を防ぐためにメラニンを放出しなさい」と命令を出します。そのため、肌を完全に覆っていたとしても、日焼けしてしまうのです。それを防いで美肌を守るために、サングラスをかけてプレーする女性プレーヤーがとても増えたのです。

しかし、サングラスの効果は彼女たちだけでなく、戦う男子にも大きな恩恵を与えてくれるのでした。それは「見たいものを、いち早く認知する」ために、サングラスが役に立つからです。テニスでは、相手のフォーム、インパクトの状況を見て、打球がどこへ打たれるか予測します。ハイレベルな戦いでは、わずか100分の1秒の遅れによって、エースを取られてしまう世界です。

一瞬でも早く、飛んでくるボールを把握するには、光の速さで飛んでくる視覚情報をゲットすることです。それによって脳から身体へ指令が送られ、素早い反応を起動することができます。「よく見えること」は「反応を速くすること」にダイレクトに繋がるわけです。

友人に薦めたら、見事にハマっちゃったコントラスト系ピンクレンズ
〜 ナイター&インドアのレッスンで歴然とした効果を体感 〜

ピンクレンズ

スキー場では、「防眩目的」としてサングラスが早くから使われていましたが、昨今の雪上競技では「スポーツ用アイウェア」として必須アイテムとなっています。それは雪面のアンジュレーションを正確に把握して、素早く準備するために必要だからです。もちろんサングラス型ではなく、雪が入らないように目の周辺全体を覆う「ゴーグル型」ですが、競技者でなくても、ゴーグルをするのは常識となっています。

「コントラスト系ピンクレンズ」が、いち早く採用されたのが、そのスキー競技です。雪面は光を強く反射するため、全体が白く光り輝いてしまい、雪面の凸凹がわかりにくくなってしまいます。それを把握しやすくしてくれるのが「コントラスト系レンズ」で、見たい波長の光を透過し、その前後の波長をセーブすることにより、光が反射する微妙な差を増幅するような効果が生まれ、凸部と凹部を把握しやすくしてくれます。

そうした「コントラスト系レンズ」の中で、光を遮る効果が少なく……つまり光透過性を高く保ったまま、コントラストを強調してくれる効果があるのが「ピンクレンズ」であることがわかりました。しかもこのレンズは、周辺の色に比べて、黄色を強調して「浮き上がらせて」見せてくれるために、テニスにもとても効果があることが知られています。

レンズ比較

眩しさを防ぐ「防眩効果」を求めて光透過率を低くすると、目に入る情報量も少なくなってしまうため、レスポンスも遅くなってしまいます。ですから、さほど眩しくないときには、光透過率の高いピンクレンズを使うことで、飛んでくるボールを明確に捉え、正確な身体反応によってイメージどおりのインパクトを実現することができます。

その光透過率の高さのおかげで、光量の少ないナイターやインドアコートでのボール情報獲得性も高くなります。つまり、これまでの常識とは真逆となる「暗いところでかけるサングラス」が登場したのです。昔も、暗いとき用としてイエローレンズがありましたが、テニスではボールの色と重なって、見えにくくしてしまいます。でもピンクレンズは、黄色いテニスボールを浮き立たせてくれます。

その効果を明確に体感した筆者は、友人たちにも積極的に薦めました。その中に、夜のインドアコートでテニスをする友人がいて、「またおまえにハメられた!」と電話をよこしました。「もうあのレンズなしではプレーできなくなっちゃったじゃないかぁ」って。

それくらい明確な違いを体験してしまった彼は、テニスをするときは、オーダーメイドの度付きピンクレンズを愛用して、猛烈なハードヒットに命を燃やしています。自分がもしナイターで彼と対戦することになったら、あのピンクレンズメガネを使ってほしくありません(汗)。

危機回避のためにもっとも重要なことは「素早い情報獲得」
〜 見えすぎちゃって困ることなんかない 〜

アイウェア-フレーム

いまからちょうど50年前、あるアンテナメーカーが「見えすぎちゃって困るのォ〜♪」というテレビCMを流し、一世を風靡しました。そのアンテナの性能が良すぎちゃうということをアピールするものでしたが、テニスの世界では「見えすぎて困る」ことなどありません。

これは前述のように、プレーパフォーマンスを向上させるのに役立ちます。しかしそれだけだけではなく、「ケガの防止」にも効果があると謳われるようになっています。よく見えることで、迫る危険を、いち早く察知することができるからです。

とくにナイターやインドアコートでは、昼間に比べて光量が少ないため、どうしてもボールが見えにくくなります。そのため、昼間のコートであれば簡単に避けられるボールなのに、わずかな反応の遅れのせいで、逃げられなくなってしまう場合があるのです。きっとみなさんも、ヒヤッとした経験があるのではありませんか?

そんな状況で、ナイターやインドアコートでボールを見やすい プリンス【PSU900 偏光機能付きサングラス】をかければ、素早く危険から回避しやすくなるのです。眼球の前に割れにくいレンズがあること自体、眼球への直撃ダメージを和らげることはできるのですが、そうした物理的プロテクターよりも、直撃ダメージを受ける前に回避する「システム的プロテクター」としての役目を果たしてくれるわけです。

「偏光機能」というのは、角度の浅い反射光をカットしてくれる特殊なレンズ構造による付加機能です。ナイターやインドアコートでは、高角度の照明が中心となるため、コートサーフェスの照り返しは少ないものの、カーペットコートなどは表面の繊維に乱反射して、ラインが見にくくなることがありますから、偏光機能は役に立ってくれます。

正直言って【PSU900 偏光機能付きサングラス】には、デメリットが見つかりません。よく「メガネは重くてイヤ」という人がいますが、このサングラス……いやスポーツアイウェアは、約16 gという超軽量で、装着感が限りなくゼロに近い感覚です。

筆者はメガネユーザーであり、サングラスも含めると20本くらい持っています。それらをすべて計量してみると、度付きのもので30 g くらいで、軽量フレームのスポーツグラスで20〜25 g くらいあります。それに対して「16 g」というのは、メッチャ軽いんです。「重さ」という感覚がありません。

総合的に考えて、【PSU900 偏光機能付きサングラス】にはメリットしかありません。度付き眼鏡をかけてプレーする人以外は、すべてこのメリット満載のアイウェアによる恩恵を受けることができるわけです。飛んでくるボールが際立って見える視覚情報獲得ブースターを、あなたのテニスバッグの中に備えておくと、きっと得しますよ!

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー