【テキストリーム×ザイロン】搭載!プリンス最強、超攻撃的【ファントム】と優雅で大きな白き蝶【エンブレム】。

超攻撃的モデル【ファントム】に最先端テキストリームが投入される
〜 強靭素材が可能にした「スリムなる攻撃性」 〜

2024年の夏デビュー。最新の構造的カーボンシステム【テキストリーム×ザイロン】を新たに搭載したのが、プリンス競技系モデルの中でもっとも攻撃的で、最先端技術を集結させた競技系フラッグシップモデル【ファントム】です。

発売直後から「好評」で、在庫切れが相次いでいるという噂を耳にします。スリムなフレームが高速スイングを可能にし、プリンスラケットの中で、もっとも攻撃的にエースを狙う設計コンセプトで組み上げられています。

フェイスの「2時・10時」の位置に【テキストリーム×ザイロン】を配置したことで、面の捩れ剛性がグッと高まりました。テニスラケットは「この部分を強化することで、捩れにくくなる」ため、捩れによるパワーロスを抑え、より効率的なインパクトを実現できる……というのが「ATS(アンチトルクシステム)」のメリットなのです。

そしてこれが「パラレルホール」によるスウィートエリア拡大効果と相まって、現代的な「身体から遠い位置でのインパクト」でも、パワフルな打球を打ち出し、相手の高速打球にも打ち負けず、逆に正確無比なカウンターを放つことができるのです。この「ストリング面の上方に有効エリアが広がる」というところに、プリンスが生んだ【長ラケ】の基礎理論が応用されているも言えるでしょう。

【O3】スピリットが【ファントム】にも活かされている!
〜 自分たちのコンセプトに「責任」を持つ 〜

【ファントム】には2機種あり、ひとつはノーマルグロメット(といっても、エクスパンドホールによってストリングたわみの可動域は大きい)の【ファントム 100】。フレーム最大厚はフェイス中央部の22㎜で、この部分に反発性能の中枢を集中させています。

そして【ファントム O3 100】は、ニューOポートグロメットによって、ストリング面のたわみを大きくして「掴みながらの高い反発性」を実現する、個性的な派生モデル。そのぶん、フェイス部最大厚を20㎜厚に抑え、オーバーパワーにならないコントロール性を確保するための調整が図られています。

これは筆者の独善的解釈ですが、プリンスというブランドの素晴らしいところは「O3を好むプレイヤーに責任を持ってカバーしていく」ところと思っています。ラケットブランドのなかには、それまでの搭載機能を簡単に捨ててしまうところもあるのに、プリンスには「一度、自分たちが創ったものを気に入ってくれたプレイヤーを、簡単に放り出さない」という考え方があります。

「強い責任感がある」……そういうブランドであることを、多くの人に知ってもらいたいです。

【エンブレム】という優雅さを際立たせる「純白」
〜 デカラケ人気No.1(※) 〜

十分なパワーを備えた競技系プレイヤーとは対照的なベテランプレイヤーにとって、「軽さ」のメリットは、操作性や疲労軽減などにおいて大きな魅力となります。

彼らのために存在するのが、軽快操作・高反発性能を備えた【エンブレム】シリーズであり、これにも【テキストリーム×ザイロン】が搭載されることになりました。筆者は「フレームの『しなり→戻り』を有効活用するレベルのプレイヤーに使ってもらうモデルじゃないから、その必要があるのかなぁ?」と思っていたんですが、新素材導入のメリットは存在したのです。

「軽くてデカイ!」で高い評価を受けている【エンブレム120】の「247g」は、このクラス最軽量。【テキストリーム×ザイロン】の強靭さゆえに、このフレーム総重量が実現できたのです。もしかしたら、新素材によって軽量化できた分だけ、コスメティックをゴージャスに奢ることができたのかな?と思わせるくらい、「白くて大きな蝶が舞う」ような【エンブレム120】の優雅なコスメティックがコートに映えます。

そして姉妹モデルである『エンブレム110』は、プリンスの「形状デザイン的な美しさ」を備えています。じつは、このサイズのフレームを美しいシェイプに仕上げるのは、とてもむずかしいことです。とくに「シャフトからフェイスに繋がる曲線」を美しく仕上げるには、洗練された美意識が必要なのです。

でも「ラージサイズ」の開祖であるプリンスにとって、ここはまさに「お家芸」。筆者的には「このサイズを展開するすべてのメーカーの中で、プリンスがもっとも美しい」と見ています。これはオベンチャラでもなんでありません。

そんな美しいラケット形状を、ゴージャスな「白」が引き立てるわけです。
ベテランプレイヤーの期待を満たし、大きくて高機能てんこ盛りなのに、さりげなく美しい……それが『エンブレム110』です。

※:自社ラケット100平方インチ以上の大型ラケットカテゴリーとして販売実績がNo.1

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー