超軽量・変身的・便利工夫バッグ! じつは『ロールトップ型』がテニス用として最適だったことに気付いちゃったプリンスさん。

パッと見、テニスバッグとは思えないオシャレさにワクワク!
〜 これは若者に売れるぞぉ 〜

OD246

ラケットがレギュラーサイズのウッド製だった昔、「テニス用のバッグ」は『トーナメントバッグ』と呼ばれ、横長でハードめのケースで、グリップハンドルが付けられていました。それが大きなドラムバッグへと様変わりし、ついに例のプリンス『ラケットケース』が登場してから、『ラケットバッグ』という概念が生まれたのです。

それからは、テニスをする人は「ラケットバッグを担いで移動」があたりまえとなって、ラケットバッグ大全盛時代を迎えますが、近年の都会では大型のラケットバッグの姿を見かけることが少なくなりました。若者がクルマに乗らないようになり、練習や試合へ向かうのにも、電車で移動ということが多くなります。

電車利用では大型バッグは不便。ラケットバッグも「大型トーナメントサイズ」は必要とする絶対層がいるのでさほど影響はありませんが、3本入りサイズくらいは、ラケットバッグとしては小型だけど、普通のバッグとしては大きい……。「もっとコンパクトでもいいんじゃね?」という若者たちが増える時期と重なるように、布製の『スライディングバッグ』が重宝されるようになるわけです。

以前、ラケットを購入すると「1本入りフルケース」が付属してきたものですが、あれ……ラケバを持っているプレーヤーには、まったく必要ないんですよね。持ち帰っても捨てるだけ。また、あれだけ1つ持っていると妙にシロウトっぽく見えますからね。

そこに、当初はコストダウン策だったはずの『スライディングバッグ』が大ウケしちゃったものですから、すべてのメーカーがあのスタイルとなり、若者たちは布袋に入ったラケットと、自分が好きなバッグを持って移動するようになりました。

彼らが目を付けたのが「バックパック」。それまでは「アレってオジさんやオバさんが背負うものでしょ」と冷めた目で見ていたのに、ラケットをスライディングバッグで抱えて持つようになったら、両手がフリーになるバックパックが、やたらと便利になってしまったのです。

いまやどこへ行ってもバックパックを見ない日はありません。一般のみなさんにもバックパック嵐は吹き荒れ、街じゅうに溢れて、どんどん進化し、オシャレになっていきます。そしてとうとう、バックパックのオシャレさが、テニス用バッグでも実現したのが、プリンス【OD246 バックパックロールトップタイプ】です。

この形……好きだったんですよぉ! WEBカタログで発見し、グローブライドへ「次はこれで書きたいので、サンプルを送ってくださいまし」とお願いして、やっと手元に届きました。

手にとって実感する「超軽量」移動用イージーバッグ
〜 テニスバッグのような、ラケットケースのような 〜

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梱包が届いて、受け取った瞬間……ものすごい違和感が。

「えっ、軽い……」。

箱から出したときには「違和感→衝撃」です。これまでのプリンス製バックパックはどれも機能的であるため、そこそこに重さは感じていたのに、こいつは驚くほど軽い。上端がクルクルッと巻かれているせいで、なんだか重さがあるように見えるのに、視覚的印象をひっくり返して……超軽い。

細部チェックを始めると、すぐにわかりました。
これって「バッグ」というより「袋」です。非常によくできた、丈夫な袋と思ってください。通常のバックパックには、全体の形をしっかり保って崩れないようにする「型出しパッド」が全面に内蔵されています。でなければ、外被自体が厚くて硬く、ゴワゴワした素材を使って型を保つのですが、この【ロールトップタイプ】には、背中側にクッションパッドが内蔵されるだけで、外被素材自体も薄くて柔らかです。

これは「発想の大転換」です。外見的には「れっきとしたバックパック」ですけど、その軽さ、手軽さ、融通のきくところは、『スライディングバッグ』の超発展型といったところでしょう。ロールトップを伸ばしてみたときの正面イメージは、まさに「ラケットを入れるための袋」です。でも、必要な荷物を収めて、トップ開口部をクルクルッと丸めて、カチッとストラッブで固定すると、完全なバックパック……超軽量。

この軽さは助かります。現在もプリンスのバックパックを日常使いしていますが、財布とかスマホ用バッテリーとか、たいしたものは入れていないはずなのに、そこそこの重さがあるんです。そのぶん、しっかりしできているので安心ではあるんですけど、この軽量さは魅力ですねぇ。

でも、背中に背負ったときに快適であるようにと、背面にはクッションパッドが内蔵され、背骨に沿ってメッシュを配置、通気性に配慮してあります。もちろんストラップも通常のバックパックと同様の強度を持ち、クッションパッドもしっかり入って快適安心です。

こうなると「全体が袋みたい」なのではなく、「バックパックに、袋の自由度と軽さを与えた」と捉えるべきだと感じました。

2Wayラケット収納の「変幻自在」が楽しい
〜 なかなか考えられているアクセスルート 〜

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ここまで「袋だ、袋だ」と言うと、このバッグのことを「性能を間引きしたバッグなんじゃないの?」と感じる方がいらっしゃるかと思いますが、いやいやどうして、ちゃんとしたバッグなんですよ。
まずバッグの左右両方に、ペットボトルも入る「メッシュポケット」が装備されています。また前面の開口ポケット部には、内蔵ポケット&ジッパーがあり、よく使う小物などは、ここに収納しておけばアクセスが簡単です。
そしてそして、この「ロールトップ」が肝心です。大きなものを入れるときは、ロールを解いて上から入れるのがいいですが、小さなものを出し入れするのに、いちいち「ロールを解いて・巻いて」という作業は面倒ですよね。
そのために正面左サイドの背中側に「縦長大きなジップ開口部」が用意されているんです。これは便利! こっちをメインに使う場合は、ロールトップはスタイルアクセサリー。使い手のことをよく考えてあります。
さて、見出しで「変身」だの「変幻自在」だのと言ってきた根拠を明かす時がきました。再三言うように「これはスライディングバッグの超発展型」ということですから、スライディングバッグのように使えるのです。ロールトップを解いて、上からラケットを「斜めに」入れます。カタログスペックには「ラケット本数:1本」と控えめに記載されていますが、2本入れても問題ないだろうなぁ。
ラケットを収めたら、開口部分を折ってたたんでストラップを最大に延長してカチッ。これでラケットをいっさい見せずに完全収納。バッグ内にラケットしか入れないと、それなりに形が歪みますが、ウェアやタオルなどが入っていれば、バッグの形はとてもキレイに出ます。
そこでお立ち会い! ラケットを入れられるのは、バッグの中だけではありません。全面下半分をカバーするように配置された大型ポケット。ここにラケットを挿してもいいんです。でもね、ただそれだけじゃ上にきたグリップが左右あっちヘ行ったりこっちへきたり、しまいには落っこちてしまうかもしれないので、それを固定する専用ストラップがメインストラップから横へ伸びているんですよ。なんとも芸が細かいでしょ! じつに面白い。超軽量変身型システムバッグです。
そしてさらに言うならば、「使わないとき」のことです。バッグをたくさん持っている人の悩みは「置き場所に困る」ということ。この【ロールトップタイプ】は、「袋の超発展型」ですから、荷物を全部出してしまえばペッタンコになります。「収納に便利な収納バッグ」ですよ!
筆者は正直言って、「ロールトップ型なんて、テニス用には使えないよなぁ……」と考えていましたが、「ロールを伸ばしちゃえば、ラケットを入れてちょうどいいじゃん」という逆転の発想には驚かされました。なにごとにも、安易な既成概念を捨てるところから始めるべきだと、勉強させられたプリンス【OD246 バックパックロールトップタイプ】でした。

ご購入はこちらから。
OD246 バックパック ロールトップタイプ

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー