足指って「親指+4本」で機能する。
別々にしてあげると「こんなに違う!」
プリンス『足袋ソックス』の安定感。

足指って「親指+4本」で機能する。 別々にしてあげると「こんなに違う!」 プリンス『足袋ソックス』の安定感。

古代エジプトにあったソックスは、なんと「足袋型」
〜 平安時代に始まる「日本の足袋」 〜

かつて、一部の種族によって「ローファーを裸足で履く」なんて流行がありましたが、彼らが消え去ってからは、落ち着いた一般靴下社会が戻りました。ただ、靴の中に完全に姿を埋没させ、足首を丸出しにすることで「まるで裸足のよう」に見せる風習が残ってはいますが、「やっぱり靴下は必要だよね」ということで世間は合意を得ています。

普段の生活では、そうした「隠し靴下族」や「無靴下サンダル族」でも生き延びられますが、テニスでは全員が「靴下保守」であり、さらに機能を訴える「機能急進派」もいて、靴下の必需性は盤石であります。

靴下の原型は、なんと古代エジプトにまで遡ります。エジプトのアンチーノという町の墳墓から発見された古代靴下は、多くの織物や衣類と一緒に見つかりました。そして4世紀頃には完全な袋状の編物で、編目を増やしたり減らしたりすることで足の形に合わせた、なんと「指付き」の子供用の靴下……つまり「足袋型ソックス」にまで発展していたのです。

でも日本は、江戸時代が終わるまで「靴がない世界」でしたから、靴下の原型が長く残り続けることになりました。それこそが『足袋文化』です。日本に足袋スタイルが伝わったのは、5世紀頃に中国から伝わってきた「襪(しとうず)」という足袋に似たものだと言われています。当時の日本は「裸足文化」でしたが、貴族などの特権階級だけが、皮革製の袋で足を包む「たんび」と呼ばれたものを履いていたのです。

調べてみると、鎌倉時代に編纂された『宇治拾遺物語』には、「皮の足袋をはきなして」という記述があることから、11世紀には「足袋」の漢字が使われていたことがわかっているので、「たんび=足袋」となったのでしょう。

その後の日本では、足袋は貴族や武士が履く「皮革製足袋」で、外出や狩りのときに足を保護するために「皮革製」だったのでしょう。その後、室内で履く絹製足袋も生まれますが、まだまだ特権階級だけのもの……。町人が足袋を履けるようになったのは、江戸期になってからのことで、安くて丈夫な「綿の足袋」の登場によるわけですが、それでも足袋は富裕商人など「お金持ちだけのもの」であり、大衆はまだ「裸足」。通常の履物は「裸足にわらじ・下駄・草履」だったのです。

いっぽう、靴下は別のルートで日本に入ってきました。安土桃山時代から江戸時代にかけて盛んだった南蛮貿易によって、ヨーロッパから伝来。もちろん当時、靴下の存在を知る市民などおらず、特別な高級品として一部の富裕層だけが知っていたいたようです。そして明治時代になってようやく西洋スタイルが流入し、「機械編み」が導入されたことで、一般にも靴下が広まっていったのです。

足指は「1+4」で機能する……って、知ってた?
〜 親指は特別! だから独立して機能させる 〜

さあ、「足袋のお勉強」はここまでにして、現代の「足袋型ソックス」のことを話しましょう。足袋は、草履など「鼻緒のある履物」のために生まれましたから、鼻緒のない「靴文化」には、本来必要のないものです。

なのになぜ今、「足袋型ソックス」、さらには「五本指ソックス」まで、愛用者がいるほど市民権を得たのか? 五本指ソックスの話は、また別の機会にするとして、鼻緒のないテニスシューズに、なぜ足袋型ソックス? ですよね。

注目されるポイントは、『親指が独立して動く』ということです。
直立歩行する人間の足指では、「親指の存在」がとても重要です。親指があるからこそ、我々はバランスを保って歩くことができるのです。

「親指」って、5本の足指のなかで、いちばん「力が入りやすい足指」で、他の4本とはまるで違う役割を担っています。解剖学的に見れば、足指の骨&関節それぞれに筋肉が連結し、5本の指がすべて独立して動くようになってはいますが、人間の親指を支える骨は特別に発達し。それを動かすための筋肉も太くなっています。

足の親指は『拇趾(拇指)』と呼ばれ、その付け根を『拇趾球』とされています。この構造システムこそが、人間の歩行や走行の「挙動・バランスを支える」重要な役目を背負っているのです。

みなさんも「親指だけは、他の4本とは力の入り方が違う」という実感をお持ちでしょう。
親指については、いろんなことがわかってきていて、歩き・走りという動作において、足の親指は「重心移動の制御」「ブレーキ」「蹴り出し推進力」をコントロールするための、重要な器官となっています。普段はまったく意識なんてすることなく歩いたり走ったりしてますが、一歩に意識を集中してみると、親指と他の4本との動き方の違いを確実に感じるはずです。

身体全体のバランスと安定性を制御するには、親指が大切であることがわかります。いろんな方向へ動くための速度や力の入り方を決めるのが親指の動きであり、それは、身体全体の「制御中枢」と言ってもいいでしょう。足袋型ソックスは、そんな親指を「五本指から独立させてあげる」ことで、拇趾(親指)につながる強くて重要な筋肉「拇趾外転筋」を機能しやすい状態にすることができる……という見地から誕生したのです……と思います。

なにより実際に、多くの愛用者たちが、足袋型ソックスを履き、開放感に満ち溢れた自分の親指が「僕は自由なんだ!」と叫んでいるのを感じています。さらに親指の付け根の拇趾球は「縦アーチ&横アーチを維持する起点」となり、足自体が持つクッション機能を担うことは、さまざまな分野からの研究で明らかになっていますから、親指を独立させた足袋型ソックスの存在価値は、広く世間に認められるようになっています。

プリンスの足袋ソックス【PS295】の価値を利用して「勝つ!」
〜 親指活用と、踵の骨を安定させる〝隠れ機能〟 〜

日本のプリンスでは、シューズ機能に独自の考え方を持っていて、その理念をベースに開発が進められていて、幅広く多くの固定ユーザーの心をわしづかみにしています。筆者も、そこから「足とシューズの関係」を勉強させてもらっていますが、プリンスは両者の間にある「ソックス」にも注目しました。

テニスシューズと足との間には「かならず」ソックスが存在することを忘れてはなりません。どんなに優秀なテニスシューズがあっても、足の動きとシューズの動きを効率よくリンクすることができなければ、システムとして完成しないのです。逆に、両者の中間存在である「ソックス」が、足とシューズを繋ぐための邪魔となってしまうこともあります。

プリンスには「ソックスはもうインナーとしての枠を越え、足とシューズとをジョイントさせるツールだ」という認識がありますし、それを必要と感じているプレイヤーも増えてきています。

だから高価格でも、「高機能ソックス」を求める人が多いわけです。そりゃあ「テニスのソックス……3足セットで売ってるのしか買わん!」という人もいらっしゃるでしょうが、そんな方にこそ、「高機能ソックス」の価値を知っていただきたいです。

靴下・下着は、靴の内側、服の内側に着けるもの……つまり「インナー」なのですが、直接に肌に触れるインナーは、肉体に影響を与えやすいものです。機能インナーや着圧パフォーマンス、回復型インナーが必要とされるてきたのは、皮膚にダイレクトに接するものがコンディショニングに大きく影響すると理解され始めているからでしょう。

テニスシューズを初めとするプリンスフットウェアの基本理念は……
 「足が合理的・効率的に動くことをサポート」
 「足が持つ本来の機能を発揮させるためのナチュラルポジション回復」
と筆者は感じています。

シューズ側の【PMFソール】:効率的に足が動くように誘導するソール全体の構造
フレックスポイントを従来より後ろに下げることで、ハムストリングを有効に機能させ、オフバランスを作らせない。リアフットからフォアフットへの体重移動をしやすくする
ソックス側の【足袋ソックス】:足親指を独立機能させやすくする高機能ソックス
履きやすく、足指の自由度を向上させる拇趾独立機能でバランスがとりやすくし、効率性の高いフットワークを生む。さらに「ヒールロック機能」で踵の位置を固定し、左右へのブレを軽減して、身体の軸が真っ直ぐに保ちやすくする。

ヒールロックと謳うと「テーピングでガッチリ固めたイメージ」を持つかもしれませんが、履いた印象では「キツいと意識させるほどではない」です。テーピングの場合は、「力がかかったとき、それ以上は動かないように固める」システムですが、【足袋ソックス】でのヒールロックは、「力が抜けた(着地していない)状態で、足内部の状態を自然なポジションに戻してくれる」意識で、次の動きに備えるために、いったんナチュラルポジションを回復をさせることを狙っているのではないかと感じます。

【足袋ソックス】の生地の厚さは、厚くもなく、薄くもない「全体中厚」ですから、履いていても窮屈な感じも、違和感もまったくなく、適度な強さでサポートしてくれているという印象。男女兼用で「22.0~24.0cm」「24.0~26.0cm」「26.0~28.0cm」という3サイズ展開です。

「親指1本+他4本」を分離して、それぞれが機能しやすくした【足袋ソックス】を履いて、足とソックスとの挙動的合体を体感 → 勝利してはいかがでしょう?

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー