腕の筋肉稼働の制御で負担軽減!
これはウェアラブルテーピング
プリンス&CW-X【アームサポーター】

テーピング効果のあるサポーターが認知された経緯って
〜 CW-Xは女性用ストッキングから生まれた 〜

さあ、今回紹介するのは、見た目にはなんの愛想もない「黒い筒」。
なんじゃこりゃ?? って思われる方がたぶん……87%。見覚えのある方には「腕にするやつでしょ」とおわかりでしょうが、ご婦人の両腕を、紫外線から守る「アームカバー」じゃないですよ!

近年では、野球やバレーボールなど、プロの球技プレイヤーが「利き腕だけに装着している」のをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。まるで「片方だけ長袖」のウェアが利き腕を覆っている……みたいに見えるのが『アームサポーター』です。

いまや機能性アンダーウェアやスポーツタイツは、プロにも一般プレイヤーにも、幅広く着用されていますが、初めて登場した1991年には「こりゃカッコわるい!」って見られていました。あれからもう34年がたつんですね……。

当初は「カッコわるい!」と揶揄されたタイツスタイルでしたが、あっという間に広まりました。「ポロシャツ+スコート+アンダースコート」という女子プレイヤーの定番スタイルからアンダースコートが消え、代わりにスパッツを着用し始めた女性たちは、「機能があるなら……」と、【CW-X】のロングタイツを履き始めたのです。

【CW-X】は、ワコールの女性社員が「スキーをするときのサポートタイツ」として、女性用ストッキングを改良したことに端を発するスポーツ用機能アイテム。脚をキレイに見せるために脚の各部で「締めつける力」に違いをもたせた「着圧ストッキング」です。ですから、女性には最初から違和感などなかったわけですね。

男性は「あれ、良さそうだよなぁ……。でも男がタイツ……って、幼稚園の頃以来、履いてないし」といった具合に、遠巻きに見ていたわけですが、そのうち女性だけでなく、男性ランナーも着用しているのに見慣れてくると、「オレも試してみよう!」と踏み切ったのです。そしてそれからは手放せなくなる……いや「脚放せなく」なりました。

今、腕でも同じ現象が起こっています。これまでは女性プレイヤーが「日焼け回避」のため、半袖シャツに「長袖みたいな筒で覆った」みたいな腕カバーと思っていたら、なんとなんと世界のトップアスリートが「片腕カバー」をしてるじゃありませんか!

「そっか! あれにはかなりの機能があるんだなっ」と理解したテニスプレイヤーが、どんどん試し始めています。なんたって、テニスくらい「利き腕を酷使する」スポーツはないんです。様々なスポーツでアスリートたちが使い始めたということは、「確実に負担軽減の効果がある」ということの証明に他なりません。

腕の筋肉それぞれの働きをコントロール&アシスト
〜 もっとも腕を使うスポーツ……それがテニス 〜

ここで、我々が「過酷な仕事をさせている腕の筋肉」について、最近流行りの「AI」君に概要を訊ねたところ……(以下 引用)

腕の筋肉は、上腕と前腕に分かれ、それぞれ肘や手首の曲げ伸ばし、握る、ひねるなどの動作を担っています。
これらの筋肉は、日常生活のさまざまな動きを可能にし、またスポーツパフォーマンスにも影響を与えます。
◎上腕の筋肉の役割
  上腕二頭筋: 肘を曲げる、肩関節を屈曲させる
  上腕三頭筋: 肘を伸ばす
  上腕筋:   肘を曲げる
◎前腕の筋肉の役割:
  前腕屈筋群: 手首を曲げる、指を曲げる
  前腕伸筋群: 手首を伸ばす、指を伸ばす
  円回内筋:  肘を曲げる、腕を内側にひねる
  腕橈骨筋:  肘を曲げる、手首を安定させる
これらの筋肉は、単独で働くのではなく、互いに協力し合ったり、拮抗したりしながら、複雑な腕の動きを可能にしています。

と、答えてくれました。テニスでは、上腕の大きな筋肉がスウィングを実現し、大きな動きを制御します。そして10もの細かな筋肉によって構成される前腕筋群が、それぞれ複合的に機能し合って、スウィング〜インパクト〜フォロースルーまでの微妙な動きを、コントロールするのです。

それをわかったうえで「アームサポーターは何に効果があるのか?」を考えてください。まず「着圧効果」が、大きな筋肉の「収縮〜伸展」をアシストします。筋肉たちをキュッと締めてやることで、収縮した筋肉が伸展するときのパワーを発生しやすくしてくれます。言ってみれば「ブースター」です。

また、10の前腕筋群がバラバラに働かないよう、着圧によってまとめます。手首や指の動き・握る力の制御など、複雑に機能し合う前腕筋群だけに、どれかの筋肉だけに極端な負担がかかって傷めると、大きな故障の原因になってしまいます。そこに適度な着圧をかけることで、それぞれがうまく機能し合うように采配するんですね。「チームリーダー的」な役割をはたしてくれている感じです。

プリンス【BCR001】(右腕用)と【BCR002】(左腕用)は、34年という蓄積データから誕生した『CW-X』の技術を、テニスの動きに活用する「お助けアイテム」です。テニスショップの店頭に並ぶパッケージは、かなり地味で、そんなにスゴいヤツに見えないんですが(プリンスさん すみません)、これは「あなたのテニスを助けてくれる」こと請け合いです。

【アームサポーター】を正しく装着すべき意味と、その手順
〜 注目すべきは、テープの「縫い目の数」 〜

そうそう、大切な情報を忘れてはいけないですね。プリンス【アームサポーター】は、「着圧」だけではなく、スウィングの動きを楽にしながら、筋肉が正しく動いてくれるように制御する「テーピング機能」を備えています。

サポーターには「2本のテープ」が組み込まれていて、着用するときには「正しい位置」に配置されるようにしなければなりません。【アームサポーター】は「わずかに曲がって」いて、その曲がりに「腕の曲がり」を合わせて装着します。

テープとなる部分は「二重構造」となっており、それは「縫い目」の位置で判断できます。まず、やや細い「腕の外側を通るテープ」は、縫い目が「2本」。それが通るルートは「肩の下〜肘頂点の外側上〜甲側手首の付け根」ですから、そうなるように装着してください。

それができていると、もう1本のテープは自然に正しい位置を通るようになっていて、「脇よりもやや前側〜肘頂点の内側上〜手のひら側手首の付け根」を経由して装着されるはずです。腕の内側を通るテープは、縫い目が「3本」なので、装着後に、きちんとそうなっているかを確認してください。せっかく【アームサポーター】を購入しても、正しく装着できていないと、期待の効果を得られなります。

このルートは、キネシオロジーテープ(キネシオテープ)が貼られる場合と同じものであり、まったく同じとは言えないまでも、筆者が装着してみた感想としては、それに準ずる効果を感じられたように思います。

このように「テープが通るルート」がとても重要です。注意いただきたいことは「右腕用と左腕用ではテープの配置が真逆」になること。購入するときはかならず、「右腕用」か「左腕用」か(パッケージ袋の右上テープに記載)を確認してください。

また、「S」「M」「L」「LL」と4サイズあるので、購入時には自分に適したサイズを選ぶことも重要です。キツすぎても、ユルすぎてもサポート効果が薄れるので、ジャストサイズを選びましょう。サイズの基準となるのは「上腕の最大周囲」です。購入前に「上腕が自然な状態での最大周囲」を計り、パッケージ裏に記載してあるサイズ表に従って購入してください。

松尾高司(KAI project)

text by 松尾高司(KAI project)

1960年生まれ。『テニスジャーナル』で26年間、主にテニス道具の記事を担当。 試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー